「懸垂が1回もできない…」 「公園の鉄棒やジムのバーを見るたびに、少しだけ憂鬱になる…」
そう感じているのは、あなただけではありません。懸垂は多くの人にとって、憧れでありながらも、高い壁と感じるトレーニングの一つです。
しかし、正しい手順で段階的にトレーニングを積めば、誰でも懸垂を達成することは可能です。必要なのは、がむしゃらな努力ではなく、自分のレベルに合った正しい知識とアプローチです。
この記事では、懸垂がゼロ回の初心者でも、着実に1回を達成できる5つのステップを、科学的な視点から分かりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、「自分には無理だ」という思い込みは消え、「これならできるかも!」という希望に変わっているはずです。さあ、一緒に懸垂ができる未来への第一歩を踏み出しましょう!
「なぜ自分は懸垂ができないんだろう?」まず原因をセルフチェックしよう!

多くの人が「懸垂ができないのは、単純に腕の力がないからだ」と思っています。しかし、原因はそれだけではありません。まずは客観的に原因を分析することから始めましょう。以下の項目で、どこでつまづいているのかチェックしてみてください。
① そもそも背中の筋肉を使えていない(広背筋・僧帽筋)
懸垂は「腕で体を引き上げる」運動だと思われがちですが、実はメインで使うのは背中にある広背筋や僧帽筋といった大きな筋肉です。この「背中で引く」という感覚が掴めていないと、腕の力だけに頼ってしまい、すぐに限界が来てしまいます。
② バーにぶら下がるだけでツラい…握力の限界(前腕)
体を持ち上げる以前に、バーにぶら下がっていること自体がキツい、という方も多いでしょう。これは握力(前腕の筋肉)が体重を支えきれていない証拠です。握力は、懸垂動作を支える土台となります。
③ 体が重い?体重と筋力のアンバランス
物理の法則上、自分の体重が重ければ重いほど、持ち上げるために必要な筋力は大きくなります。重要なのは、現在の体重に対して筋力が足りているかというバランスです。
④ とりあえず引っこ抜く!間違ったフォームの罠
がむしゃらに体を持ち上げようとすると、肩がすくんでしまったり(肩の巻き込み)、肘が外に開いてしまったりと、力が効率よく伝わらない間違ったフォームになりがちです。これでは、本来使えるはずの背中の筋肉がうまく働かず、怪我のリスクも高まります。
⑤ 効率的な動作の鍵:「ロックする」意識の欠如
これは少し専門的な話になりますが、非常に重要です。体を「引き上げる」というより、「肩甲骨を下げて固め(ロックし)、その状態に体を近づけていく」という意識を持つことが、効率的な懸垂動作の鍵を握っています。この意識がないと、パワーが分散してしまいます。
懸垂ゼロ回からの挑戦!挫折させない5つのステップ

原因がわかったら、いよいよ実践です。いきなり高い目標を立てる必要はありません。一歩ずつ、着実に進んでいきましょう。ここでは、挫折しにくい5つのステップを紹介します。
ステップ1:まずは30秒ぶら下がるだけ!(デッドハング)
これが全ての土台となる最初のステップです。まずは鉄棒やバーにぶら下がり、30秒間耐えることを目標にしましょう。
- 目的:握力の向上、肩甲骨周りのストレッチ、背中の筋肉を意識するきっかけ作り。
- やり方:肩幅より少し広めにバーを握り、足を地面から離してぶら下がるだけ。肩の力は抜き、リラックスしましょう。
- 目標:30秒 × 3セット
これがクリアできないうちは、まだ体を持ち上げる段階ではありません。焦らず、まずは「ぶら下がり」に慣れることを目指してください。
ステップ2:「下ろす」筋トレ!ネガティブレップをマスターする
体を「上げる」のが難しいなら、「下ろす」動きから始めましょう。これをネガティブレップと言います。筋肉は、力を入れて伸ばされる時(伸張性収縮)にも強く刺激されます。
- やり方:踏み台などを使って、バーの上に顎がある状態からスタートします。そこから、5秒〜10秒かけて、ゆっくりと体を下ろしていきます。
- ポイント:ただ重力に任せて落ちるのではなく、背中と腕でブレーキをかけながら下りる意識を持つこと。
- 目標:10回 × 3セット
ステップ3:魔法のゴム!アシストバンドで「引く」感覚を掴む
ネガティブレップに慣れてきたら、いよいよ「引く」練習です。ここで登場するのが懸垂アシストバンド(チューブ)。ゴムの張力が体を持ち上げるのを助けてくれる、非常に便利なアイテムです。
- やり方:バンドをバーに引っ掛け、片足または両膝にかけます。バンドの補助を借りながら、懸垂を行います。
- ポイント:バンドに頼り切るのではなく、あくまで「背中で引く」意識を忘れないこと。
- 選び方:強度の違うバンドがセットになっているものがおすすめです。最初は一番強い(太い)バンドから始め、徐々に弱い(細い)ものに変えていきましょう。
ステップ4:公園やジムで挑戦!斜め懸垂(インバーテッドロウ)
地面に足がつくため、負荷を自由に調整できるのが斜め懸垂のメリットです。公園の低い鉄棒や、ジムのスミスマシンなどで試せます。
- やり方:低いバーの下に仰向けになり、バーを握ります。かかとを地面につけたまま、胸をバーに引きつけます。
- ポイント:体を一直線に保つこと。体を起こせば起こすほど負荷は軽くなり、寝かせれば寝かせるほど負荷は重くなります。
ステップ5:可動域を広げて、ついに初の「1回」を達成!
ステップ1〜4を続けていれば、体は確実に変わっています。最後の仕上げは、可動域を少しずつ広げていくこと。
最初は「1cmだけ上げる」からでOK。次に「半分まで上げる」。そして、アシストバンドを一番細いものに変えてみる…。そうして挑戦を続けたある日、あなたの顎は自然とバーの上にあるはずです。その瞬間こそ、努力の末に掴んだ、記念すべき「懸垂1回」達成の瞬間です!
【目的別】懸垂トレーニングが捗るおすすめアイテム3選

トレーニングを効率的かつ安全に進めるためには、適切なアイテムへの投資も重要です。ここでは、トレーニングを効率化するおすすめのアイテムを厳選してご紹介します。
① 懸垂補助チューブ|おすすめ強度と選び方(比較表あり)
初心者のマストアイテム。これがあるのとないのとでは、成長スピードが全く違います。選ぶポイントは「強度の種類」と「耐久性」です。
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|---|---|---|---|
| 名称 | TheFitLife トレーニングチューブ | VRTXバンド | FREETOO エクササイズバンド |
| 強度バリエーション | 4段階 赤: 7-11kg 黒: 23-34kg 紫: 45-54kg 緑: 54-79kg | 7段階 1-7kg〜64-91kgまで | 3段階 7-16kg 11-30kg 16-39kg |
| 耐久性 | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
| 特徴 | 天然ゴム製、ループ状、バンドタイプ。初心者〜上級者まで対応、コスパ良好。 | ラテックス+ポリエステル繊維で高耐久。伸縮性抜群、筋力や体重に合わせて細かく選べる。 | 天然ゴム製、厚みと幅がしっかり。365日保証付き、強度ごとに単品販売。 |
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② 懸垂マシン・ドアジム|安定性で選ぶならコレ!(比較表あり)
自宅で本格的にトレーニングしたいなら、懸垂マシン(懸垂スタンド)やドアジムが選択肢になります。設置場所や安定性を考えて選びましょう。
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|---|---|---|---|
| 種類 | 懸垂マシン | 懸垂バー(突っ張り棒タイプ) | ドアジム(引っ掛けるタイプ) |
| 安定性 | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
| 設置の手軽さ | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| おすすめな人 | 設置スペースがあり、安定性を最優先する人。 | 賃貸で壁に傷をつけたくない人。手軽に始めたい人。 | ドア枠の強度に自信がある人。最も手軽。 |
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③ 握力強化&マメ予防アイテム(ハンドグリッパー、液体チョークなど)
トレーニングを続けていると、「握力」と「手のひらのマメ」が課題になってきます。これらは小さなアイテムで対策できます。

スキマ時間でできる握力強化の王道。負荷を調整できるタイプがおすすめです。

手汗を防ぎ、グリップ力を劇的に向上させます。一度使うと手放せなくなる方も多いです。

マメの予防に効果的ですが、素手の感覚が失われる側面も。素手の感覚を重視するなら液体チョークがおすすめです。
懸垂への近道!自宅でできる3つの補助トレーニング

懸垂そのものができなくても、懸垂に必要な筋肉を個別に鍛えることで、目標達成はぐっと近づきます。ダンベルやチューブがあれば、自宅で簡単にできます。
① 背中の厚みを作る「ダンベル・ベントオーバーロウ」
懸垂のメインエンジンである広背筋を直接的に鍛えるトレーニングです。
足を肩幅に開き、膝を軽く曲げ、お尻を後ろに突き出すように上半身を前に倒します。背筋はまっすぐ伸ばしたまま、ダンベルを持った腕を、脇を締めながらみぞおちに向かって引き上げます。肩甲骨を寄せる意識で行いましょう。
② 肩甲骨を自在に操る「フェイスプル」
肩甲骨周りの細かい筋肉を活性化させ、正しいフォームを身につけるのに役立ちます。トレーニングチューブを使いましょう。
チューブを顔の高さの柱などに引っ掛け、両手で持ちます。肘を高く保ったまま、チューブを顔(耳のあたり)に向かって引きつけます。フィニッシュで肩甲骨がギュッと寄っているのを感じてください。
③ ぶら下がりを安定させる「プランク&ホローボディ」
強い体幹は、体のブレを防ぎ、パワーを効率よくバーに伝えます。
うつ伏せから肘とつま先で体を持ち上げ、頭からかかとまでが一直線になるようにキープします。
仰向けになり、手と足を少しだけ床から浮かせます。腰と床の隙間を埋めるようにお腹に力を入れるのがポイント。体幹を安定させるための重要なトレーニングです。
筋力アップを加速させる!食事と栄養の基本戦略

やみくもに筋トレだけをしても、体の変化は限定的です。効率的に筋力をつけるには、トレーニングだけでなく栄養戦略も重要です。特に、体重とのバランスを意識しながら筋力を向上させたい場合、食事内容は大きな鍵を握ります。
筋力アップの鍵「タンパク質」いつ、何を、どれくらい?
筋肉の材料となるタンパク質は最重要です。一般的に「体重(kg)×1.5〜2.0g」を1日の目標にしましょう。一度に吸収できる量には限りがあるので、朝・昼・晩の食事に分け、トレーニング後や就寝前にも補給するのが理想です。鶏胸肉、卵、魚、大豆製品などを積極的に摂りましょう。
おすすめプロテインは?目的別(増量・維持)の選び方
食事だけでタンパク質を補うのが難しい場合は、プロテインを活用しましょう。

吸収が速いので、トレーニング直後におすすめ。

吸収がゆっくりなので、就寝前や間食に。

大豆由来。ベジタリアンの方や、乳製品が苦手な方に。
トレーニングの質を上げる!パフォーマンスUPのための栄養摂取
トレーニング前におにぎりなどの炭水化物(糖質)を摂ることで、トレーニング中のエネルギー切れを防ぎ、集中力を維持できます。トレーニング後は、枯渇したエネルギーを補給するために、糖質とタンパク質をセットで摂る(ゴールデンタイム)のがおすすめです。
意外と知らない?関節を守るコラーゲン・ビタミンの重要性
トレーニングを始めると、意外と負担がかかるのが肘や肩などの関節です。関節の主成分であるコラーゲンや、体の調子を整えるビタミン・ミネラルも意識して摂取することで、怪我を防ぎ、長くトレーニングを続けることができます。
懸垂初心者のよくある質問(FAQ)

ここでは、懸垂初心者が抱きがちな質問にお答えします。あなたの疑問も、この中にあるかもしれません。
まとめ:まずは「ぶら下がり30秒」から!着実な一歩が未来を変える

さて、懸垂を達成するための完全ガイドをここまで読んでいただき、ありがとうございます。 たくさんの情報がありましたが、今、あなたがやるべきことはたった一つです。
まずは、近所の公園の鉄棒か、ジムのバーに「30秒ぶら下がってみる」こと。
それが、あなたの体を変え、昨日までとは違う自分に出会うための、最も確実で、最も偉大な一歩です。
あなたの最初の目標:1ヶ月でネガティブレップ10回×3セット
まずはこの目標をクリアすることに集中しましょう。これができれば、1回達成はもう目の前です。
記録をつけよう!モチベーションを維持する進捗チェックシート
「今日は何秒ぶら下がれた」「ネガティブが何回できた」といった簡単な記録をつけることを強くおすすめします。成長が目に見えることで、モチベーションが驚くほど維持できますよ。
懸垂1回の次は?中級者向けバリエーションへの招待
そして、無事に1回を達成したなら…そこからが本当のスタートです。回数を増やすのはもちろん、L字懸垂、アーチャープルアップなど、懸垂の世界はさらに奥深く、楽しいものになります。
次のステージを目指す時、この記事が再びあなたの助けになれば幸いです。






